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TIDEPOOL OCEAN ACADEMY 「せかい」水曜日

第3の目で「せかい」を観る

こんにちは!「せかい」クラス担当の、はらみづほです。

今日はみんなで「第3の目」を開き、「モノの奥に広がるせかい」を観る旅に出ました。

第3の目を開く呪文は、「ド・コ・ド?」と「ダ・ジ・ダ?」。

「これって何の意味なの?」と紅一点のKちゃんからいい質問が。

この呪文は、「ドコからココへ?ココからドコへ?」「ダレからジブンへ?ジブンからダレへ?」の略。

今日のクラスでの「第3の目をひらく」という意味は、そのモノの原料、つくられた場所、それをつくった人々のいる世界、それを使い終え捨てた後にそのゴミがどこに行くのか…など、「見ようとしないと見えないせかい」に想いを馳せる、ということなのです。

ではまず、私たちのくらしに欠かせない「お金(紙幣)」を、第3の目で見てみましょう。

「みんな、このお金って、何からできてると思う?」

みんなひととき考えたあと、「紙!」という答えが。

「じゃあ紙の原料は何だかわかる?」

「木!」

「じゃあその木がどんな木で、誰がその木を世話しているのか見に行こう!」

…というわけで、私が世界の旅で見てきた紙幣の原料をつくっている国のうちのひとつ、南米のエクアドルへ。

まずは世界地図でエクアドルを探し、日本からの距離を眺めます。

「エクアドルってどこにある?」

「アフリカ!」

ほんとかな…?と地図の上を探していくと、エクアドルは日本をはさんでアフリカの反対側に記された、南アメリカ大陸にありました。

その国を旅していた私が撮った写真を、大画面でみんなで見ます。

紙幣の紙は、実は木ではなく、バナナの葉っぱにそっくりの「アバカ(マニラ麻)」と呼ばれる草からできていたんですね~!



先月のクラスで旅したエクアドルのバナナ農園の近くに、紙幣の原料になる「アバカ(マニラ麻)」を育てている畑がありました。

刈り取る仕事をしている人の手はグローブみたいに分厚くて頑丈。でも、血がにじんでいます。


数え切れないほど多くの人の手にさわられ、折られたり濡れたりするお札の紙は、丈夫でないとなりません。だからその紙をつくるための繊維も、すごーーーく丈夫。これが「アバカ(マニラ麻)」の葉っぱからとれた繊維です。



この小さな工場では、こんなふうにこの繊維を乾燥させていました。そうめんみたいですね~笑



そうやって出来上がった繊維(糸)は、手でひっぱると手が切れそうなほど強靭でした。




この繊維はこんなふうにまとめられ、車や船に揺られて工場のある街や外国へ運ばれ、紙幣のほかにもロープなどの製品になり、私たち日本人のくらしをも支えてくれているのです。

ちなみに、紙幣にこの繊維が何パーセント配合されているか、他に何が混ぜられ、どんなふうにつくられているかは、もちろん国家機密です。

上記は、JICAが発行している冊子にあった情報。

アバカ(マニラ麻)の葉を刈っている人の手がグローブみたいにでっかくて、しかも血が出ているのに氣づき、みんなビックリ。

そして、この仕事をしている人の時給が3ドル(約300円)だと知って、「えーっ?!そんなの安すぎ~!」と声を上げていました。

そう、私たち日本人の生活は、紙幣の原料すら自国ではまかなえていないのが現状で、私達が日常お世話になっている無数のモノの原料はたいてい、こうして安いお給料で働いている外国の人々の手によって採集・調達されているのです。

では、次はそんなお金で買っているあるモノに関連する写真を見てみましょう。

「みんな、これ、何してると思う?」


(画像:DVD「女工哀歌」より)


「ゲーム?」「遊んでる?」「美容のため?」いろんな答えが飛んできて、「じゃあどんな感じかやってみよう!」と、男の子たちが洗濯ばさみの入った箱を持ってきて実際にやってみると…「イタイッ!!!」

そう、彼女達は自分達が眠ってしまわないように、わざわざ痛みを感じることをしているのです。


彼女達は、ジーンズ工場の働き手。これは「女工哀歌」という映画の告知文で、彼女達はその登場人物達。衣服の向こう側にも、こんな世界が広がっているのです。


こどもたちはビックリし、ひとときいろんな意見や会話が交わされました。

「ZARAやH&Mはジーンズ1000円とかだから、第3の目で見るとこれとおんなじなんだよ!」
とHくん。うわ~ファストファッションの問題を知ってるんだね~!きっと親御さんが日常会話の中でそういう話をしているのかもしれませんね…!

「ねぇ、じゃあ食べものは?」という声がJくんから上がり、「まってました!」と次の写真に。
(画像:月刊誌「DAYS JAPAN」より)

チョコレートの原料であるカカオを調達するために、人さらいにさらわれてきた子ども達がムリヤリ働かされている、という現実に、みんなビックリ!

「そんなのヒドイよ!」「ヒドイヒドイ!イヤだ〜!!」

みんな口々に言い、涙目の子もいます。

「ヒドイよね…!私も、もしみんなが人さらいにさらわれて働かされてると思ったら耐えられない。絶対に助けようと思うし、そんなふうにして作られたチョコなんて絶対に買いたくない。

だけどみんなほとんどのチョコがこんなふうに苦しんでいる子ども達によって作られてるって知らないから、買ってるんだよね。

でもね、このことを知って私たちみたいに『こんなのヤダー!』って思った人が、大人達にきちんとお給料を払って作ることにしたチョコレートもちゃんとあるんだよ。

だけど、それは一枚300円で、さらわれてきた子ども達が泣きながら働かされてできたチョコは一枚80円なの。

みんなはどっちを買う?」


動労者から搾取せず公正な取引のもとで作られた“フェアトレード”のチョコレートがあることを伝え、そう問いかけると、みんな一瞬考えこみましたが、涙目だったYくんからまっ先に「300円のを買う!」という声が出て、みんなも「300円!」とのこと。


「会社はたくさん売れるものを作るから、子どもをさらって働かせたんじゃないことを確認して300円のチョコをみんなが買うようになり、子どもをさらって働かせている原料でできた会社のチョコが売れなくなったら、その会社はそういう作り方をしなくなってくんじゃないかな。

私たちが何を買うかで、世界が変わっていく可能性があるんだよね」

みんなショックで頭の中がいっぱいいっぱいになってしまったのか、私の言葉に対する反応はすぐには返ってきませんでしたが、考えるきっかけは手渡せたかな、と思います。

では、最後は自分で考え、発表してみる体験タイム。

一人ずつ氣に入ったモノを選んで第3の目でそれを見つめ、そのモノの原料を通して「せかい」を観るチャレンジをしました。

本、レゴ、えんぴつ、スポンジ、そして、うんこ!が、それぞれのこどもたちが選んだモノ。

みんなそれぞれの書き方や対し方で、「その原料」を考察し、書き出してくれました。


この紙を書いた彼が選んだのは「スポンジ」。彼はその原料が「蜘蛛の糸」からできていると予想したみたい。こどもの想像力の豊かさに感動し、胸がいっぱいになりました。

  なんと、第3の目で見えた世界が、地球の中や空や海にまで及んだ子も。いや~すごい感度です!

みんなの考察を紙に書いてもらい、一人一人発表してもらいました。
自分で考え、想像力を働かせ、それをプレゼンするトレーニングです。


そして、次に大切なのは、それが事実に当てはまっているかどうかを調査・確認すること。
なので、それぞれの書いたことが事実かどうか、選んだモノの原料が何かを、来月のクラスまでに各自で調べてきてもらうことにしました。

次回はその発表会。楽しみです!

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