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TIDEPOOL OCEAN ACADEMY 「せかい」水曜日

「困っていること」を見つけてみよう ~他者とのせかいで生きる~

「せかいクラス」の講師、井本ゆき先生のゼミに所属している慶應義塾大学・3年生の田中れいごです。

今回のテーマは「他者の困りごと」。

個人化が進み、SDGsやESGという言葉を使わなければ、課題を課題として感じられなくなっている、と言われるような現代で、TIDEPOOLの子どもたちが「困りごと」についてどのように捉えているのか学びたい、という思いでこのテーマを設定しました。

また、子どもたちが他者の困りごとに気づくきっかけになれば、という願いも。

まず始めに、子どもたちに「困りごと思いつく?」と投げかけると、みんなから「ない」という返答が。そこでまずは紙に書き出してもらうことにしました。



早く1つ目を書き終える子もいれば、なかなか思いつかない子もいます。
視点を変えてもらうよう、「家族の困りごとは?」「友達の困りごとは?」「隣の近所の方の困りごとは?」と投げかけます。

すると、こんな質問が。
「昨日のでもいいんですか?」

なるほど、子どもたちは「困りごと」を「今日」あるいは「今」起っていることと捉えていて、大人が使う「困りごと」とはスケールが異なるのか。

子どもたちがいかに「今」に重点を置いて生活をしているか、教わりました。



また書いていると
「消しゴムない?」と周りの友達に尋ねる子がいました。
すると「あるよ、はい!」とすぐさま1人の子が答えて、貸してあげていました。

その光景を見て、それは「困りごと」を見つけて助けてあげているのでは、、!と思いましたが、子どもたちからすると、そういった出来事を「困りごと」「助けている」と認識してはいないようでした。



ひとまず書き終わったところで、次は葉山公園に行くことにしました。
いく先々で、人がいるはずなので、その人たちの「困りごと」を発見できるかもしれない、と思ったからです。

そこで歩いていると、
「この段差にこけそう」
「あそこにいる人、赤ちゃんがいて大変そう」
「あの人、とても寒そう」
といった気づきが、子どもたちにありました。

公園に着くと、すぐにメモを取ります。



みんなが書き終えると、木登りや氷鬼で一緒に遊びました。
「今」に夢中になって遊ぶ、その方法を教わった気がしました。



TIDEPOOLに戻ると、これまで見つけた「困りごと」を整理して書き出しました。



みんなに、書いたものを見せてもらいました。

「ママがあらいものやせんたくものがおおくてこまっている」
「がっこうにけしごむをわすれた」
「あかちゃんのせわがたいへんでこまっている」


「木の上にたこがのっちゃった」
「家にしゅくだいをわすれた」
「学校のきょうかしょをわすれた」


中には、人間ではなく、「魚」の気持ちになって書いてくれた子もいました。
「かるいしで魚が息できない」
 

課題を課題として感じられない現代で、子どもたちが他者の困りごとに気づくきっかけになれば、と始めた授業でしたが、

逆に子どもたちからは、「今ここで自分が生きている」ということに重点を置いて生きる姿を学びました。

他者の困りごとに気づく、と同じくらい「今ここで自分が生きている」という感覚を持ち合わせることも非常に重要だと思います。

来年は、ある特定のせかい(価値観)を押し付けるのではなく、
仮に子どもたちが1つの「せかい」で生きずらさを感じても、また別の「せかい」で自分自身を位置付けられるよう、多様な「せかい」と出会ってもらいたいと思います。

それに向けて、私たちに何ができるか、改めて考えていきたいと思います。


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