「せかいクラス」の講師、井本ゆき先生のゼミに所属している慶應義塾大学・3年生の小谷かんなです。
今回は井本ゼミに参加している、東京大学3年の平松くんと一緒にクラスを担当しました。
まず2週間に行った授業の内容を振り返って、火星人に「食べる」という経験がどんなものか伝えたということを話してくれました。
そのまた2週間前の大学生が担当した授業で、火星人に地球の魅力を伝える「音」を探しに行ったことも、思い出してくれました。
そして今回もまたまた火星人がテーマ。
私たちは日々いろいろな物をさわりながら生きているけれど、あらためて「さわる」ってどういう感覚だろう?
火星人はなにかを触ったことがないかも。そんな火星人に、さわるってどういうこと?と聞かれたらどう答えたらいいかな?物をさわるとどんな感じがするんだろう?
外に行って色んなものをさわりに行ってみよう!ということで、白紙とバインダーとえんぴつを持っていざ出発!
まずは神社に到着し、早速石造りの鳥居から触りはじめました。
狛犬がのっている石段を触ってみて…あれ意外とザラザラしてない…?狛犬はつるつるしてる…?
木、石、葉っぱ、松ぼっくり、地面、虫のたまご、竹、岩、地面まで、いろいろ触って絵を描いていきます。
狛犬の開いた口に手を突っ込んでみる子どもたちも…!
中身は見えないけど、松ぼっくり、落ち葉がたくさん入っていて、「何かの卵があった!」「なんの卵だろう…」と、見えないスリルがより手の感覚を豊かにしていたのかもしれません。
道中も、電柱やカラーコーンを触ってどんな感覚か書きとめます。
どんどん暗くなってきて、より手の感覚が研ぎ澄まされていきます。
次は海辺に移動しましたが、風が強くて急遽公園で散策しました。
砂や貝殻を触ったり、風を感じてみたり、
公園のブランコの鎖やすべりだい、はしごなど色んなものを触っていきます。
一通り描き終えた後は、アスレチックのまわりで鬼ごっこやブランコで遊びました。
TIDE POOLに戻った後はみんなが紙に書いた感覚で1番気に入ったものを伝え合いました。
ほとんどの子どもたちが、
石は「ざらざら」
狛犬、卵、葉っぱの裏側、竹、カラーコーン、ブランコは「つるつる」など、
同じ表現が見受けられました。
また面白いなぁと思った表現は、
木や松ぼっくりは「がたがた」
はしごは「かさかさ」
手すりや滑り台は「すべすべ」
貝殻が「がたがた」
虫の卵は「ふわふわ」など、いろんな擬音語で表現していました。
葉っぱでも、表面は「つるつるがさがさ」で、裏側は「かさかさ」と感覚が違います。
松ぼっくりも「がたがた」と表している子もいれば、「ちくちく」と表したり、
砂は「じゃりじゃり」「さらさら」といったように、同じ物でも様々な表し方がありました。
トゲのある葉っぱは「少し痛い」や「少しくっつく」といった説明が付け加えられてあったり、「やや」ざらざらといったように、度合いを表している子もいました。
海辺の風は強かったという子や、手に向かって息を吹きかけて、風の感覚はないなぁと、思いはそれぞれ。
今回の授業を通して、
自然豊かな場所で、いろんなものに着目してどんどん触っていく子どもたちの観察力の鋭さに本当に驚かされました。また同じ物を触っても、表現が各々違ったり、大学生である私とも表現が異なったり、多くの違いを感じました。
しかし、多くの子どもたちが「つるつる」や「ざらざら」をよく使って同じ表現をしていて、
触る感覚を表す擬音には限界があるのかなぁと少し反省もありました。
でもやっぱり石ってざらざらしているし、
竹や葉っぱはつるつるという表現が一致しています。
それぞれの感覚の違いも面白いけど、
同じ擬音を使って通じ合うこともできます。
共通した感覚を通して、私たち人間は共感することができるのも大事だということを再確認できました。多様性ももちろん大事ですが、同じ感覚を共有できることはすごいことなのかもしれない…そんなことにも気づきがありました。
この擬音で想像つく物は?目の見えない状態で何か触ってみて生まれる表現は共通するのか?子どもたちと挑戦してみたいことがたくさん!
これまでのせかいクラスで、火星人をテーマに五感シリーズの授業を行ってきました。
お互いの感覚の違いを認めること、逆に同じ表現に共感することの大切さ、
そして自然豊かな場所で感じる感覚と
そうじゃない場所で感じる感覚はどう違うのか
ますますいろんな興味が深まり、今日も楽しい1日でした。
これからもステキな授業を運営していけたらと思います。