こんにちは!「せかい」クラス担当の、はらみづほです。
今日は先月の計画通り子どもたちに先生になってもらって、調べてきたことをみんなに教えてもらう授業。
自分が興味を持った仕事をしている、「直接話を聴いてみたい!と思ったNGO/NPOについて調べ、みんなに発表してもらう」というミッションを、みんなの代表として2人のこどもたちにお願いしたのです。
でもその前に、今日初めて参加した子たちのためにも、ここまでの経緯をちょっとおさらい。そもそも何で、NGO/NPOについて調べることになったんだっけ?NGO/NPOって、なんだっけ?
6月の授業「第3の目で“せかい”を見る」で、紙幣の原料をはじめ、衣類や食品などなど、くらしの中でお世話になっているありとあらゆるモノやその原料が、理不尽なほど安い賃金で働く海外の人々や、人さらいにさらわれ奴隷のように働かされている子どもたちによって調達されていることを知った子ども達は、大量生産・大量消費・大量廃棄…の世の中が生み出している貧困問題や経済格差について知ることに。
と同時に、そんな格差社会をなくしたいと考えた人々の一部が、NGO(非政府組織)やNPO(非営利組織)、はたまた、児童労働や労働者からの搾取をしない公正な取引(フェア・トレード)をしている企業の存在も知りました。
すると子ども達から、「そういう仕事をしている人たちの話を聞いてみたい!」と声が上がり、今回の運びになったのです。
これは、世界各地や日本国内の、マスメディアではなかなか知ることができない現状を知らせてくれていた写真月刊誌「DAYS JAPAN」の情報。
以下は、ドキュメンタリー映画「女工哀歌」のDVDパッケージの画像。これを観た時、私は大量生産の現場を目の当たりにして本当にショックを受けましたが、哀しいだけの映画ではなく、少女達の強さや素朴さ、生きる力にも胸を打たれる名作でした。
「この映画、観てみたい!」と子ども達から声が上がったので、機会をつくってぜひ上映会をしたいと思っています。図書館などで借りられると思うので、ご家庭でもぜひご覧になってみてくださいね。
↑これは、眠ってしまわないようにするための、彼女たちの知恵。一日18時間も働かされていたら眠くて当然なのに…。
奴隷のように働かされている彼女たちのような人々によって、1着1000円前後のジーンズをはじめ、薄利多売の「ファストファッション」は成り立っているんですね。
6月に授業を受けていた子たちも、今回初めてこの画像を見た子たちも、「ひどい!」「こんなことさせるおとなはみんなでやっつけなくちゃ!」と、思いついたアイデアや氣持ちを口々に言ってくれました。
(ちなみに…この写真で目を閉じている子たちは寝ているわけではなくて、たまたま瞬きしているときにシャッターを押してしまったのだと思います。実際はみんなとっても興味深げに画面を見ていましたからね!笑)
さて、おさらいが終わり、いよいよ発表タイムです。最初はYくん。「インターネットで調べたら難しくてわからないことだらけだったので、ぼくにもわかったことだけを発表します」と言って、まずはホワイトボードに、「さばくかぼうし」「森林保全」と書いてくれました。
みんなに「さばくかぼうし、って何だと思う?」と尋ねると、「砂漠になっちゃうのを防ぐこと?」とのこと。ワカッテルね~!Yくんが書いてくれた言葉の隣に漢字を書いて、「砂漠に変化しちゃうのを防いで止めることだね」と、漢字の説明とともに補足説明しました。
う~ん、このクラスは「地理」も「社会」も「政治経済」も「漢字」も勉強できて、オトクだね~笑
「みんな、砂漠って知ってる?どうして砂漠化を防止しなくちゃならないんだと思う?」と尋ねると、みんな聞き取れないくらいいろんな答えを口々に言ってくれましたが、その中に「砂漠になっちゃったら、生き物が生きて行けなくなっちゃうから!」という声が。
「そう!その通り!じゃあ、どうして砂漠化してるところがあるんだと思う?」
「地球温暖化!?」 2人の子からそんな声が上がったので、
「すごい!地球温暖化を知ってるんだね?じゃあどうして地球温暖化が起きてるの?」と尋ねると、これにはみんな考え込んで、教室がちょっと静かになりました。
そこで、森林の木々が大量に伐採されていることてが二酸化炭素を増やしてしまっていることや、原子力発電所で、高熱になった原資炉を冷やすのに使った水が熱湯になったあと、それを大量に海に流しているので海水温が上昇していることなどを伝えました。
その他にも、ゴミ処理場を含む日本中・世界中にある工場からの排氣や排水、自動車の排氣ガスなど、人工物の製造・運搬・廃棄の段階で、人間界からは日々大量の二酸化炭素が放出されていて、その二酸化炭素を吸って酸素に変えてくれる森林が減って全体のバランスが崩れていることが、地球温暖化の原因として知られていますね。
「だから、『砂漠化防止』のために『森林保全』が必要なんだね」と、Yくんが書いてくれたことの関連性を説明すると、Yくんが、「あ、そうだ!そこにこれも書いてあった!」と言って、ホワイトボードに『植林』と書き足してくれました。
すると、一人の子が「ワンガリ・マータイ!」と嬉しそうに叫びました。砂漠化を防止する植林活動「グリーンベルト運動」をアフリカ大陸全土で行い、民主化や持続可能な開発の推進に取り組んだ、環境部門で初めてノーベル平和賞を受賞したアフリカ人女性の名前です。
「うわ~!よく知ってるね~!」と感心して言うと、
「私、植林する人になるのが夢なの!」とのこと。
なんてステキな夢なんでしょう!
すると別の子から、
「でも、今からいくら木を植えたって、どうせ温暖化は止められないよ!」という声が。
「そうかな…?どうせできない、と思ったらできないけど、できる!と思ってみんなで方法を考えてチャレンジしていけば、どんなことだってできると私は思うよ。今までのことはどうしようもなくても、未来は変えられるよ。みんなには一人一人ちゃんと、その力があるんだよ!」
私が思わずそう言うと、「『どーせムリ!』じゃなくて、『だったらこうしてみれば?』だよね!」という声がみんなから口々に上がったではありませんか!
聞けば昨日、今村隊長の授業で、北海道の赤平でロケットづくりにチャレンジしている会社の社長・植松努さんのお話の動画を見たのだそう。その中で語られたキーワードを、みんなしっかり覚えていたんですね!
(↑ 植松努さんのTEDスピーチ。大事なことがテンコ盛りです!)
砂漠化や地球温暖化にまつわる森林伐採の現状を話し、伐採された木がどう使われているかについても話していきました。
(出典:DAYS JAPAN)
南米のアマゾンの森林が伐採され、緑のジャングルがすっかり赤茶色の土に変わってしまっている様子。
(出典:DAYS JAPAN)
伐採されたフィリピンの山の森林が開発のため伐採され、雨で地すべりが起き、山のふもとの村に山の土砂が流れ込み、村がつぶれてしまった、という報道。
(出典:DAYS JAPAN)
「コンクリートの型枠」というのは、大きな施設にあるコンクリートの壁などをつくる際、ドロドロのセメントを流し込む型のこと。
建物をつくる時に、こうして森が使い捨てられている現状や、コピー用紙、ティッシュ、トイレットペーパーなど、身近な紙の原料が森林(樹木)であることを知らせました。
授業の中では話しませんでしたが、私は世界6大陸60カ国を6年ライターとして旅した後にこれらの報道写真を見て衝撃を受け、自分のくらしからありとあらゆる「使い捨て」を極力なくす生活を始めた結果、電氣代が月200円~600円になり、北海道新聞社から“笑エネ”をモットーにやっていた私のくらしの知恵とエピソードを紹介する『できた!電氣代600円生活』という本を出版しています。
私たち一般市民の「使い捨て生活」が、森林破壊をはじめとする環境破壊や貧富の差、引いては戦争の原因の大きな一端にもなっている。様々な社会問題と自分とのつながりを知ることは、想像力と創造力を広げるきっかけになるとともに、世界を平和にしていく力が自分自身にも備わっていることを知る、大切なきっかけになると思います。
みんなで語り合いを続ける中で環境破壊が「お金儲け」とつながっていることがわかってくると、こどもたちから「お金ってどうしてできたの?」という質問が。
「どうしてできたと思う?お金ができる前は、どうしていたと思う?」
お金が生まれる前の物々交換時代や貝殻がお金代わりだった時代にまでさかのぼり、遠くの人たちと取引する時の「交換チケット」として、軽くて小さくてどこにでも運びやすいお金が生まれたことや、やがてお金そのものが利益を生むようになっていったしくみや歴史を、クラスのみんなを登場人物にしたお話に置き換え、一緒にたどってゆきました。
お金の成り立ちとしくみを、みんな大まかに理解した様子。「お金」自体は「交換チケット」にすぎず「いいも悪いもない」ことを伝えると、「人間の心次第なんだよね!」とのこと。いや~恐れ入りました!笑
今度はぜひともあらためて、「お金のせかい」も、みんなでじっくり旅してみたいものです。
さて、では、もう一人のプレゼンター・高校生のKくんの発表タイムです。
彼はスマホのメモを見ながら、調べてきてくれた5つのNGO・NPOについて紹介してくれました。
「え~!スマホなんて見ちゃダメだよ~!」とみんなからチョッカイをかけられてちょっとタジタジになりつつも、一生懸命書き出してくれています。
①熱帯林造成 「syncable 」
②被災地支援 「シビックフォース」
③貧困や差別を受けている子供の解放 「フリー・ザ・チルドレン・ジャパン」
④楽器寄付 「国境なき楽団」
⑤海岸清掃 「オーシャンファミリー海洋自然体験センター」
おぉ~!多岐に渡って調べてくれたんですね~!ワンダフル!Yくんが調べてきてくれたテーマとリンクするものもありますね!
Kくんに、一つ一つの団体についてと、なぜこれらの団体を選んだかの簡単な説明を聞きながら、みんなから「そこがいい!」「あそこがいい!」と口々に声が上がり、結果的に全員一致で、「全部の話が聞いてみたい!」とのこと。
なんと、⑤海岸清掃 「オーシャンファミリー海洋自然体験センター」は、タイドプールをつくる前に今村隊長が働いていたNPOで、すぐ近くの場所にあるそうなので、来月はここをはじめ5つすべての団体に、「どうやったらお話を聴かせていただけますか?」と、みんなでラブレターを書いてみることにしました。
はてさて、相手の心を動かすには、どんな手紙の書き方がいいだろう?
…というわけで、次回もまたまたお楽しみに~!ヽ(●=゚◇゚=●)丿
今日は、私が世界各地で見たビックリ仰天のオモシロ写真を見て、それをみんなでマネしながら、世界を体で感じる体験をしました。
私が世界各地で見たビックリおもしろ写真の一つ目は、こ~んな写真。
「このおばさん、何のっけてるの~?」と子ども達。
「何だと思う?写真の隅々までよく観察して考えてみてね」
「土?」「野菜?」「ごみ?」「服とか?」
うーん、みんなイイ線行ってる!
実はここはマザーテレサがつくったライ病患者の診療所の庭で、このおばさんは、この施設のための畑で働いている人。そしてこの頭上の玉は、畑で抜いた雑草をギュウギュウ詰めにしたものなんです。
「マザーテレサって知ってる?」とみんなに問いかけると、2人の子が名前を知っていて、そのうちの一人が、「病氣の人たちを助けていた人」と答えてくれました。
その通り!マザーテレサは、インドで、路上生活者や孤児、病氣で死にかけている人々などを助け、教会のシスターたちとともに彼らの生活をサポートする奉仕活動をしていたことで知られる、世界的に有名な平和活動家です。
だからここはインド。ライ病は細菌による感染症の一つで、顔や体の各部が溶けていくのが症状の一つ。マザーテレサはその病氣にかかってしまったけれどお金がなくて治療できない人たちを守る診療所を世界各地から集められた寄付によってつくり、そこで出す食事の食材も、その施設の敷地内の畑でまかなっていました。
私が聞いたところによると、この女性はここで治療していたもとライ病患者で、だいぶ回復したので畑仕事を手伝っている、とのこと。畑は無農薬で雑草がすごいので、その雑草を抜いて大きな布でくるみ、頭上にのっけて堆肥場に運ぶところだったのです。
「この玉、10キロくらい?」
「いいえ、たぶんもっともっと重いと思うよ。私はこのおばさんに頼んでこの玉を頭の上にのっけてもらおうとしたんだけれど、重くて重くて首が折れそうでちっとものっけていられなかったの」
「えー?!このおばさん、全然重そうな顔してないじゃーん!」
「そう、毎日こうやってのっけてるから慣れていて、コツをわかってるんだよね~。私もビックリして、ほんとは人間てすごい力があるんだな~!と思ったよ~」
さて、お次はこの写真。
「なにこれ、すげー!!!」と、みんなビックリ仰天、大笑い!
「これはどこで、何でこんなことしてると思う?」
こどもたちは口々に思ったことを答えてくれて、やりとりしているうちにある子が「わかった!神様へのお供え物だー!」と。
はい、ビンゴ!ここは、毎日のようにあちこちでお祭りが開かれているバリ島で、頭上の品はお供物なのです。
バリ島の伝統文化やくらしについてひととき説明し、また別の写真へ。
「エーッ?!ナニコレ~!!!」と、またまたみんな、引っくり返って大騒ぎ(笑)
クイズでやりとりした結果、ここはエジプトで、この人は町はずれにあるパン焼き場からあちこちのパン屋さんに焼きたてパンを配る仕事をしている人、という答えが知らされました。
ちなみに私はこの街(カイロ)で、このカゴの2倍の長さのカゴを頭上にのぜて自転車をこいでいるパン配り青年も見かけました。ビックリしすぎてあっけにとられているうちに自転車が通り過ぎて行ってしまったことので、その姿を写真に撮り損ねたことを、今も残念に思っています。
さて、お次はこんな写真。
これは、アフリカのブルキナファソ共和国の、水道も電氣も車もない村で撮ったもの。
顔の二倍ほどもあるでっかいバケツを頭に載せているのはこの村に暮らすお母さんたちで、水道のないこの村では、こうして彼女たちが朝と夕方の2回、井戸まで30分かけて水を汲みに行っていたのでした。
これは夕方の水くみから帰宅途中のお母さんたちに出くわした時に撮った写真で、私はこの時も「試しに私にもそれを頭にのっけさせてもらますか?」と頼んで、頭上に載せてもらったのですが、またもや首が折れそうになり、とてもじゃないけど耐えられなくて、「うわ~ダメだ~助けて~!」と叫んで、手を添えてくれていたお母さんたちに大笑いされながら、急いで頭上からはずしてもらったのでした。
さて、一通り写真を見終わると、こどもたちから質問が。
「なんでこの人たち、そんなに重いもの頭にのっけてるの~?」
待ってましたとばかりに、「なんでだと思う?」と問いかけ、みんなとやりとりするうちに、「車がないから」という答えにたどり着きました。
そう。世界には、自動車も、自転車も、リヤカーですらも買えない生活をしている人々がたくさんいて、世界全体で見れば、そられを持っている人よりも持っていない人たちの方が何倍も多いのです。
「なんでそんなに貧乏なの?」というある子の素朴な質問から、先月の授業を振り返り、少ないお金と引き換えに奴隷のように働かされている人々と、そうやって人々を働かせることで利益を独占している一握りの人々がいる、という現実について話は展開。
いつものように地図を見ながら、私たちが日々使っている品物の原料が、そうやって働いている世界各地の人々によって採取・採掘されたものである可能性も振り返った上で、不平等な現実を変えるための仕事をしているNGO(非政府組織)やNPO(非営利組織)の存在についても、できるだけ子ども達にわかりやすい言葉で伝えました。
すると、一人の子が目を輝かせながら、「今、ぼく、夢がひとつ増えた!」と嬉しそうに言ったので、「お!どんな夢が増えたの?」とすぐ尋ねると、「ぼく、そういうNPOつくりたい!」とのこと。
私は嬉しくなって、「うわ~!そんなふうに思ったんだね~!うれしいよ!」と思わず言いながら、ピカーン!とアイデアがひらめいて、みんなに投げかけてみたのです。
「ねぇみんな、来月の授業までに世界で活動する日本のNPOやNGOを調べて、話を直接聞いてみたいと思ったところに、タイドプールに来て話をしてもらえないかお願いする手紙を書いてみない?」と。
そうしたらみんなワクワクしてくれて、結局2人の子に、自分が話を聴いてみたいと思うNGOかNPOを3つずつ選んできてもらい、次の授業でそれをみんなにプレゼンしてもらって、全員が「話を聴いてみたい!」と思ったNGO・NPOに、「タイドプールに来て直接話を聞かせてもらえませんか?」と、みんなで手紙を書いてみよう!ということになりました。
プレゼンしてくれることになった2人は張り切ってくれているので、来月がまた、とっても楽しみ!
私もあらためて世界で活動するNGO・NPOについて、来月までに自分なりに調べてみようと思います。
みんなでラブレターを送った組織のうちのどこかが、リクエストに応えて話をしに来てくれることになった暁には、大人の皆さんにもご案内しますので、このプロジェクトをどうぞ応援してくださいね!ヽ(●=゚◇゚=●)丿
授業の最後は、みんなで「のっけてウォーク」体験!
実は頭上は、物を運ぶのにもっとも適したバランスのとり易い場所。やっていると体幹が整ってきて、ナイスバディになっていきます。
「こうするとラクチンだよ!」と発見する子も。こどもってほんとにクリエイティブ!
体験してみると、体でいろいろ感じてワカルね!
ほーら、だんだんみんな上手になってきた~笑
外国だけじゃなく、日本も昔は「のっけてウォーク」してました。伊豆大島で椿油を採るために椿の実を採集して頭上の桶に入れて歩いていた「椿娘」たちの風情は、今も伊豆大島の観光の目玉。車があると便利だけど体も頭も使わなくなって人間力が鈍っちゃうから、たまにはみんなで「のっけてウォーク」しましょうね~!ヽ(^o^)丿♪