こんにちは(^^)/ 「せかい」クラスの月いち講師・はらみづほです。
いつもこのクラスの始めと終わりには、みんなで“日本式のごあいさつ”をしていますが、今日はこれまでとちょっとスタイルを変えて、二人組で向かい合って行うことに。
お互いを尊重し合える距離感を保ちながら正座し、互いのまなざしを交わし合うことで心をつなぎ、丁寧に頭を下げて、お互いの存在への尊重と礼節を示します。
ん~!なんだかみんな、いつもよりすんなりできたね!二人組だと相手がわかりやすいので、丸くなって全員で頭を下げ合うよりも、ご挨拶の意味がわかりやすかったのかもしれないね!
さて、今日のクラスは、先月やった「くらしの中のせかいを探せ!」の第二弾。
今日は先月参加していなかった子たちもいるので、まずは前回のふりかえりも含め、みんなの着ている服に着目してみました。
「私たちのくらしの中には世界から取り寄せているものがたくさんあります。たとえばみんなが着ている服はどうだろう?みんなの服は何でできてる?」
先月参加していた子たちからは、「植物!」「お蚕さん!」「石油…?」という声が。前回の授業を思い出してくれたようです。
そうだね!木綿は植物(綿の木)の実、シルクはお蚕さん(蚕蛾の幼虫)が出す糸、ポリエステルやナイロンは石油(原油)が原料。
みんなの服ができるまでには、それらの原料からまず糸を作り、糸から布を作り、布から服を作る、というステップが必要で、そのどのステップにも、大きな機械と、その機械を置いて動かすための工場が必要。また、出来上がった服を売るためのお店も必要です。
それら一つ一つの場所で、機械を動かしたり、照明や冷暖房のためにたくさんの電氣が使われているので、今着ている服がみんなのもとに届くまでには、服の原料だけではなく、電氣の原料も欠かせません。
電氣の原料は主に石炭や石油で、原子力発電という方法では、生物にとってとても危険なウランという鉱物なども使われています。わざわざ原料を掘り出したりせず、太陽光、風の力、水の流れ、地熱…など、土地ごとに備わっている自然の力をそのまま活用して発電する方法もありますが、それらもそれぞれ大きな装置が必要で、それらを作るためにはまた、石油や鉄など様々な原料が大量に必要です。
原料や布を工場に運んだり、工場からお店に運んだり、外国から日本へ運んだりする、船や飛行機や車の燃料もガソリン(石油・原油)だから、私たちはくらしの中のほとんどすべての場面で「石油(原油)」にお世話になっているんだね!
さぁ、じゃああらためて、石油の産地を地図で見てみよう!
石油がいちばんたくさん採れる国、アメリカ合衆国はどこにある?
二番目にたくさん採れる、サウジアラビアは?
その二つの国は、日本とどのくらい離れてる?
みんなでアメリカやサウジアラビアの場所や形を探し出し、それぞれの国から日本までの距離を見て、距離を感じてみました。
世界で6番目に石油が採れる中国は日本から比較的近いけれど、アメリカやサウジアラビアはけっこう遠いから、石油を日本に運んでくるだけでも、たくさんの石油が必要ってことだね!
着ているものの原料や石油をたどって「せかい」を感じた後、前回の「バナナ」に引き続き、今日はタイドプールのすぐそばにある「世界中が取り揃えてあって買えるお店」に、みんなで「せかい」を買いに行くことにしました。
さて、「世界が取り揃えてあって買えるお店」って、いったいどこだろ?何が売られているんだろ…?
「なーんだ!タイドプールから5分くらいって言ってたけど、すぐ着いちゃったじゃん!1分くらいだよ!」
ほんとだね~!いろんな「せかい」を売ってるお店が、こんなに近くにあったんだね~!おぉ~なんだかすごくいい香りがしてきたぞ~!
小さなお店なので2つのグループに分かれ、まず最初のグループメンバーがお店に入ります。
「こんにちは~!」
「いらっしゃいませ~」
お店の人の優しい声に迎えられ店内に足を踏み入れると、入口の脇の壁いっぱいに「せかい」がズラリ!みんなの大好きな国旗のマークとともに、紹介文も書いてあります。
そう、ここはコーヒー豆屋さん。タイドプールのすぐそばにあったけど、みんなこのお店に入るのは初体験。コーヒーのいい香りに包まれながら、目の前にズラリと並ぶいろんな国旗といろんなコーヒー豆の名前にクギ付けです。
さあ、グループ全員で話し合って、1グループ1種類、コーヒー豆を選んで買おうね。代表して一人に買ってもらうから、買い物をしてくれる人にお金を渡すよ。みんな、どのコーヒー豆がいいかな?
次のグループの子たちも、はじめての「せかい」に興味しんしん!
「早く早く~!」
「ぼくたちもお店に入りたいよー!」
最初のチームに人氣だったのは「ブラジル」。みんなサッカーで、ブラジルの名前と国旗をよく知っているみたいです。
最初は意見が割れていた3人も、やがて譲ったり主張したりを経て意見が一致し、「ブラジル」のコーヒーを注文することに。その一つ一つが、小さな旅先での貴重な経験です。
私はお会計カウンターの下に、コーヒーのお供にお店がすすめているビスケットの小さなパックを発見!
「どれどれ、これはどこの世界から来たものかな?」
子どもたちと一緒にパッケージの裏を見ると、「インドネシア共和国」という文字が。
「これも食べてみたい!」
「オッケー!じゃあコーヒー飲みながら食べてみよう。これも一緒に買ってね」
買物係を買って出てくれたKくんはちょっと緊張した面持ちでビスケットを受け取り、選んだコーヒーの名前とともに、「これもお願いします」としっかり言って1000円札を差し出しました。
「はい、かしこまりました。コーヒー豆は200gでよろしいですか?粉にしますか?それとも豆のままお持ちになりますか?」
初めて尋ねられる質問にちょっと戸惑ったようですが、みんなで相談して豆のまま持ち帰ることに。液体のコーヒーになるまでの工程をしっかり見て味わうために、粉にするのはタイドプールに着いてから自分たちで、ということにしました。
コーヒー豆とビスケットとおつりを受け取ったら、次のグループと交代。
「はい、お待たせしました~!まずは並んでいるいろんな『せかい』をじっくり観察してみてね~!」
ここでもやっぱりいち早く「ブラジルがいい!」という子が。
「まろやか」とか「フルーティー」という文字に心惹かれた様子の子もいて、意見が分かれます。
しばらくすると最初のグループのように別の子の主張にそって自分の意見を譲る子も出てきて、まとまるかな~と思いきや、3年生に交じって参加している唯一の1年生のIくんだけが、最初から最後までガンとして「強い苦みと深いコク」があると書かれている「コロンビア」のコーヒーがいいと主張。
「ぜったいにコレがいい!!!」と言い続けていました。
「このコーヒーを飲んだことがあるの?」
「ない。でもボクはぜったいコレがいい!」
不思議だな~おもしろいな~と思いつつ、平等性を大事にするために、じゃんけんで決めることに。
「じゃんけんぽん!」
なななんと、勝ったのはIくん!!!
…というわけで、みんなも納得。Iくんにお金を渡し、カウンターで自分の選んだ豆を注文し、さっきと同じ質問に「豆でお願いします」と答えてもらい、ビスケットと一緒に買物をしてもらいました。じゃんけんに買ったIくんの誇らしげな顔とそのあとの自信にみなぎる買物姿に、私のハートもにっこり拍手。
いったい、このコーヒーに対する彼の強い意志はどこから来たのだろう…?と思いつつも、今日のクラスのとても印象的な出来事として胸に刻まれました。
「ありがとうございました!」
「ありがとうございました~!」
お店の人と言葉を交わし、い~い香りに満ちた「コーヒー店のせかい」を後にして、みんなでタイドプールに戻ります。心なしか、帰りは来た時よりも、みんなの様子がちょっと誇らしげで楽しそう。
徒歩1分の新世界体験を、それぞれしっかり味わってくれたようです。
さて、写真がなくて残念なのですが、このあとはタイドプールのキッチンにある電動のコーヒーミルに買ってきたコーヒー豆を1グループずつ投入し、スイッチオン!
「いい匂いだね~!」と言いながら取り出された粉を見て香りを嗅ぎ、コーヒーメーカーにセットしてしばし和室で待つことに。
メイさんと順子さんが運んできてくださったコーヒーとビスケットを前に、みんなでカップを両手で持って目の高さにかかげ、声を合わせて「いただきます!」と言ってから、ゆっくりじっくり味わいました。
「おいしい!!!」
「苦い!」
「苦いけどおいしい!」
「苦いんだけど、まろやかな味がする~!」
「ぼくコーヒー初めて飲んだけど好き!」
「ビスケットと合うねー!」
「このコーヒー、二つとも味が違うね!」
「おかわり~!」
目をキラキラさせながら、みんなの口から次々に感想が飛び出します。
中には何度もしみじみ「おいしい…!」と言っている子も。
ブラジルとコロンビアの大地に根を張って育ったコーヒーの木の実の種のいのちが、海の向こうと日本でくらすたくさんの人の手を通って、今ここで一口ごとにゆっくりと、子どもたちの体にしみわたっていきます。
意外だったのは、Iくんが選んだ「苦みが強い」と書いてあったコロンビアのコーヒーを「おいしい!」と言う子が多かったこと。
私も苦みの奥に深いコクを感じ、とっても美味しくてちょっとビックリしたのですが、子どもたちにもそう感じた子が多かったのには「舌が成熟してるのね~!」と思って感心しました。
いろんな「せかい」を見て読んで、知らないお店や人に触れ会話して、いっぱい感じて、匂って味わった今日のクラス。
私にとっては、子どもたちとともにこんなにたやすく「せかい」を買ったり味わったりできる今という時代に、あらためて、驚き、楽しさ、自由、感謝、感動…を感じたひとときでもありました。
次回のこのクラスでは、今日の体験を踏まえてもう一歩深く「くらしの中のせかい」を探索していきたいと思います。
お楽しみに~!ヽ(^o^)丿♪
こんにちは!井本由紀教授のゼミに所属しております、慶應義塾大学3年の深瀬有香です。
今回は、同じゼミに所属しております、吉賀と深瀬の合計2名で対面授業を担当致しました。
今回は、映画『ワンダー 君は太陽』を観て、登場人物の気持ちや映画に出てくる言葉について考えました。
まず、今回は映画を一緒に観ることを子供たちに伝えると、「何の映画?」と興味津々にテレビの前へと集まってくれました。
映画が始まり、遺伝子疾患による風変りな容貌を持つ男の子の主人公オギ―の、初登校の場面を観ました。この時の、オギ―の気持ちはどんな気持ちだろうと子供たちに投げかけたところ、「不安な気持ちだと思う。」と答えてくれた子がいました。
初めての場所に行くのはやはり緊張や不安の気持ちでいっぱいになるだろうと、自分自身の経験と重ね合わせて考えてくれました。
また映画を観ているうちに、「同じような顔の子がいれば一緒にいられるのに、、」とつぶやいた子もいました。変わった容貌のせいで同級生になじめていないオギ―をみて、友達ができたらいいなという思いで考えてくれたのだと思います。
オギ―の妄想の場面では、オギ―の好きなスターウォーズのキャラクターが何度か出てきます。特にスターウォーズを良く知っている男の子たちが「実際にいるわけないじゃん、妄想のシーンだよね」と言いながら、楽しそうに映画を観てくれていました。
映画の最後の方の終業式の場面では、オギーは自分自身の魅力で人の心を動かす生徒として表彰されます。その時のオギーの心の声の中に、「誰もが一生に一度は拍手を浴びるべきだ」という言葉が出てきます。
そこで、子供たちと一緒に「今拍手を送りたい相手はいるかな?」と考えてみました。
すると、ある女の子はその日に葉山公園で拾ってきたカニに拍手を送りたいと話してくれました。また、ある男の子はかっこいいサメに、他の男の子はいろいろな製品のもととなる鉄に、また、自分自身に拍手を送りたい、と話してくれた女の子もいました。
自分の大切なものや、すごいと感じるものに対して拍手を送りたいという考えはとても素敵だと感じました。また、自分自身に拍手を送るという意見にも驚きました。自分をいたわり認めてあげることは、日常生活の中で時に大切なことだと思います。これからの人生でつらいことにぶつかった時、この自分に対する拍手を思い出してくれたらとても嬉しいなと感じました。
時間の関係上、主人公であるオギ―が登場する場面のみ一緒に観ましたが、他の場面も観たいという声が多く、多くの子が映画に興味を持ってくれて嬉しかったです。中には、この映画を以前観たことがあると教えてくれた子もいました。
映画の最後に、オギ―の「人をいたわれ。みんなも闘っている。相手をよく知りたかったら方法は一つ。よく見ること。」という言葉が出てきます。
目の前にいる人でも、本当はどんな人であるのかはその人に向き合ってみないと分かりません。容姿など先入観で決めつけることなく、相手をよく見ること、相手の気持ちを考えることが大切であることを、このワークを通して子供たちにも感じてもらえればなと思います。