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TIDEPOOL OCEAN ACADEMY 「せかい」水曜日

くらしの中の「せかい」を探せ!

こんにちは(^^)/ 「せかい」クラスの月いち講師・はらみづほです。

今日もまず日本のごあいさつから。本日も…よろしくお願いいたします!


今日のテーマは、『くらしの中の「せかい」を探せ!』。

私たちのくらしの中にはいろんな「せかい」がいっぱいだってこと、氣づいてるかな?

例えば、みんなが今着てる服の原料は何だろう?

「………」

今着てるTシャツは、何でできてると思う?

「おかいこさん…?」

お~!お蚕さんを知ってるんだね?

「幼虫みたいな虫でね、桑の葉を食べて、糸を出すんだよ!」

そうだね~お蚕さんが作ってくれるのは、絹糸。シルクです。シルク、って聞いたことあるかな?スベスベでやわらかくて肌触りのいい高級な布。シルクは、お蚕さんが出す糸でできた布のことです。

「虫なのに、なんで『お蚕さん』て言うの…?」

おぉ~!いいとこに氣がついたね~!なんでだと思う?

「………」

みんな、「お父さん」「お母さん」て言うよね?

大事な人だから「お」とか「さん」という丁寧な言葉を付けて、「ありがとう」や「大切だよ」の氣持ちをこめて表現するんだよね?

「お蚕さん」も、とっても大事なものだったから、「お蚕さん」て丁寧に呼んだの。
なぜなら、その虫が出してくれる糸のおかげで仕事ができて、くらしが成り立っていたから。

「あなた達のおかげで生きていけます。ありがとうございます」という想いを込めて、「お蚕さん」て丁寧に呼んでたんだよ。

今日みんなが着ているTシャツは何でできてるかな…?

これは…木綿だね。英語で言うとコットン。絹は虫が作ったモノだったけど、木綿は何からできてると思う?

「植物?」「木?」

その通り!

「ぼく見たことあるよ!木のとこにホワホワ~って白いのができるの」

お~よく知ってるね!そう、綿の木の実がはじけると、その中にホワホワした白いワタがあるの。それを摘んで、ほぐして、のばして、撚って糸にしたものが木綿糸で、その布が今みんなが着ているTシャツになってるんだね。

昔は日本でも木綿を作ってたんだけど、今はほとんど外国から輸入しています。
主にインドや中国からの輸入が多いんだけど、地図で見てみよう。インドや中国はどこにある?



Rくんが着ているTシャツの素材は、ちょっと木綿とは違う手触りだね。この素材は「ナイロン」か「ポリエステル」じゃないかな…

みんな、「ナイロン」や「ポリエステル」って聞いたことある?

「………」

「ナイロン」や「ポリエステル」はね、石油からできている糸や、それで織った布の種類の名前です。石油は液体だけど、糸や布にもなるんだね。

布になるだけじゃなく、石油は車や船を動かす燃料でもあるから、インドや中国から木綿を運んでくる時も必要なものだよね。

石油は主に「アメリカ」「サウジアラビア」「ロシア」で採れています

じゃあ、その3つの国を探してみよう!どこにあるかな?
 



日本は、着るものも、食べるものも、くらしの中で使っているたくさんのモノやモノの原料も世界中から輸入していて、それらを外国から運んでくるだけで、石油・ガソリンが必要。

モノを作ってる工場からお店に運ぶのにもまたガソリンが必要だから、ほとんどすべてのものが、「アメリカ」「サウジアラビア」「ロシア」などで暮らす人々のおかげで、私たちの手元に届けられているんだよ。

そんなふうにして、私たちのくらしは、た~~~っくさんの「せかい」のおかげで成り立っているんだけれど、今日はその中の一つ、「バナナ」のお話をします。

私は世界を旅している時に、「エクアドル」という国で、今まで食べたバナナとは全然違うビックリするほど美味しいバナナを食べたの。

あんまり美味しくて、私が「このバナナは、『白玉もっちり太陽バナナ』っていう感じですね!」って言ったら(笑)、食べさせてくれた人が笑いながら、

「美味しいでしょう!これはバナナ農園をやっているお友達から木で完熟したものを特別に分けてもらってる、日本じゃ食べられないバナナなのよ~!バナナは、熟していない青くて固いものじゃないと輸出できないから」

って言ったの。

私はそのバナナ農園に行ってみたくてたまらなくなって、「取材に行きたいので紹介していただけませんか?」と頼んで、訪ねて行けることになったの。

さぁ、じゃあエクアドルを探してみて!どこにある?
ヒントは、南米大陸。小さい国だから、注意深く探してね!



これが、田辺農園さんに行った時にみんなで撮った写真です。

いちばん左の青いTシャツの男の人が、バナナ農園をつくった田辺正裕さんだよ。正裕さんの隣は、正裕さんの息子さんです。これはもう20年前の写真だから、この時高校生だった息子さんも今は30代だね。どうしてるかなぁ…!

真ん中の白髪の男の人が正裕さんのお父さんで、お父さんの隣がお母さん(お父さんとお母さんの間にいるのが私)。このお父さんとお母さんが若い時に日本からエクアドルに移住して、たいへんな苦労をしてジャングルを切り拓き、畑をつくって農業を始めたんだそうです。

これが田辺農園の入口のあたり。東京ドーム22個分のでーーーっかい農園で、道の両側に見えるのが、バナナの木…と呼びたくなるほどでっかい、バナナの「草」です。すごく背が高くて木みたいに見えるけど、バナナは木じゃなくて草なんだって!




↑バナナの赤ちゃん

↑バナナの実はこんなふうに成っています。房の下に見えるのはバナナの花だよ。


↑バナナの花と私。花、でっかいねー!私、若いねー!笑


ぶっといバナナの草の茎を切ってみると…ネバネバしていてビックリ!


この人は、竹でつくったハシゴに登ってバナナの実の間にスポンジを入れる仕事をしていました。バナナの実の先っぽの部分で、別の房の実が傷つかないようにするためなんだって。

ぜんぶのバナナにこれをやるんだな~と思うと氣の遠くなるような重労働ですが、この丁寧さのおかげでバナナは傷つかず、腐ることも防げる。とっても大切な仕事です。

実は…こんな高いところでの作業なんだよ~!どうぞお氣をつけて~!






この人は、東京ドーム22個分の農園に張りめぐらされたケーブル(収穫したバナナの房を引っかけ、運搬するためのもの)を、バナナの加工場まで人力で引っ張っていく仕事をしています。

バナナの房がたくさん引っかかっているものすごく重いケーブルを、全力で引っ張って全力疾走!ついていくのが大変なほどのスピードで、ハァハァ言いながら汗だくで走る姿はものすごい迫力!オリンピックの選手みたいだったよ!




ケーブルの曲がり角は重さが倍増する難所。


私もチャレンジさせてもらいましたが、重くて重くて全然動かない!どんなに踏ん張って全身全霊で引っ張ってもビクともしなかったので、この仕事をしている人がどんなにすごいかを思い知りました~!(≧o≦)


農場の各地から、加工場に到着したバナナちゃんたち。


そこで、ものすごいスピードでバナナのサイズを測って規定外のバナナや傷ついたバナナをナイフでカットする仕事をしている、この道30年?のバナナ職人さん。


バナナ専用のモノサシを房にシュパッと差込んで、瞬間チェック!ものすごいスピードで次から次へとこなしていく姿に圧倒され、0コンマ1秒を競ってるのはオリンピック選手だけじゃないのね~!と思いました。


バナナ職人の目をパスしたバナナちゃんたちは、バナナのプールに次々ダイブ。ここで汚れやネバネバを水に流し、キレイな姿になります。




この女性はナイフを持って、バナナの房をちょうどいい大きさに整えていました。切るとネバネバが出てくるから、切ったらすぐ水の中に戻します。


バナナのプールのところでは、たくさんの女の人たちが働いていたよ!


女性たちがキレイにカットしたバナナちゃんたちは、ベルトコンベアにのせられて…


切り口の部分に消毒液が吹きかけられ…(田辺さんのバナナは農薬・化学肥料を使わずに育てられていますが、この消毒だけは輸出する際には欠かせないのだそう)


ブランドのシールを貼られて…


ひと房ずつ袋詰めされます。


この人は、袋詰めされたひと房ずつのバナナを箱詰めする係。

バナナどうしがぶつかって傷つかないように氣を付けながら既定の数をピッチリきっちり入れるのはすごーく難しそう!でもこの人はものすごいスピードで、パズルをはめるように次々手早く詰めていて、その手さばきに拍手を送りたくなりました。


箱詰めされたバナナの総量を量り、既定の重さになっているかチェックする係の人。重いバナナの箱を持ち上げて一つ一つ量り続けるのは、大変だろうなぁ… お疲れ様です!


たっくさんの人の手を通って箱詰めされ出荷を待つ、青いバナナたちが入った箱たち。


出荷されるバナナのひと房は、「ワンハンド」と呼ばれるのだそう。バナナの房が手に似ているからだと思うけれど、日本の私たちの手に届くこのバナナは、こんなふうにして大勢の人々の一人一人の「ワンハンド」を通って届くものだったんだなぁ…と思ったら、ありがたさで胸がいっぱいになりました。


何百個ものバナナの箱を港まで運んでくれるおじさんのワンハンドも、大切な存在。


トラックは東京ドーム22個分の農園の間を走り抜けいくつもの町々を超えて、輸出船の待つ港へ向かいます。


そして…トラックはついに港に到着!(何時間くらい走ったのかな…)


そこで待ち受けているのは…輸出にあたってバナナの品質を最終チェックする検査員たち!

ワイロを渡さないと何だかんだとイチャモンを付けられて、全箱持って帰れと突き返されることもあるそうで、荒くれ男ばかりの港には危険がいっぱいだそう。

そんな港の様子を私が無事に取材できたのは、「女性が一人で港に行くなんてとんでもない!危険過ぎる!」と心配してくださった田辺さんが、「どうしても行きたいなら、この人と行ってください」とトムさん(右)をご紹介くださったから。

トムさん、お元氣かなぁ…… その節は本当にお世話になりました…!!!
ちなみに左は、この港を仕切っている親分。スペイン語が話せたら、インタビューしたかったなぁ…笑



バナナの箱は巨大なコンテナに入れられて、輸出用の船に積み込まれます。

未熟な段階で収穫され輸出される緑色のバナナたちは、酸素をシャットアウトした冷蔵空間の中で運送され、日本に到着した後に「室」に入れられて、黄色く熟成してから販売店に運ばれるのだそう。


いやぁ~!バナナ一つとってみても、実に多くの人の手と工程を通して、私たちの手元に届けられているんだね!!!

私が訪ねた時、田辺さんのバナナはアメリカにしか輸出していなくて、田辺さんは「本当は日本の人々に食べてほしいから、日本に輸出できるようにがんばっている」と話してくれていたけれど、5~6年前、なんと田辺さんのバナナが日本のローソンで売られているのを発見したの!

ジャーン!!!

今日はみんなで、田辺さんのバナナを食べてみよ~う!


「なんかこのバナナ、ふつうのバナナよりスベスベしてる氣がするー!」

「きれい!」

「おいしそう!」

「いいにおい!」


みんな、よーく味わって、大事に食べようね!

「いただきまーす!!!」


「このバナナ、あんなにたくさんの人がいっしょうけんめい作ってくれてるんだね…ぼく感動しちゃったよ…」

「お父さんとお母さんにも食べさせたいから、持って帰りたいなぁ…」

「うまい!」

「おいしい!」

「モチモチしてて、なんかちょっといつも食べてるバナナと違う感じがする」

「なんかね、このバナナ、味が濃いなーって思った」


モグモグモグ…

「もっと食べたい!おかわりー!」

「ぼく、一口残して持って帰ってもいい?」

食べ終わった人は、田辺さんや農園の人たちにお手紙を書いてね。私が責任をもって田辺さんに届けるから。

今日、バナナ農園の写真を見て話を聴いてどうだったか、バナナを食べて何を感じたかを自由に書いてみて!言葉でもいいし、絵でもいいよ!

 

ジャーン!みんなのお手紙、できましたー!
一人一人ぜんぜん違ってて、おもしろいね~!

緑色から黄色に変化していくバナナカラーで綴られた立体レター!泣くほどおいしかったのかな?笑


おぉ~このお手紙にも、バナナの進化が描かれてる!「今までで一番おいしいバナナでした」か~!田辺さん、どんな氣持ちで読んでくれるかな~(˘︶˘).。.:*♡


なんじゃこりゃーぐじゃぐじゃじゃーん!…って思ったけれど…よーく見ると紙いっぱいに赤い文字で「うまい」って書いてあるんだね!笑 そしてその下に漢字で名前も書いてある!バナナも3本発見したぞ!こりゃすごいアートレターだなぁ…!武田早雲さんの書道みたいだー!笑


こっちのお手紙も、循環アートレターだなぁ!笑 バナナを食べてる人の上には「おいしい」って言葉が出てて、下からはでっかいうんこが出てる!笑 そしてよく見ると胸にはハートが。なんだか人間の自然な摂理を感じる絵だなぁ~!笑


切り目がある表紙を開いてみると…


中からバナナが飛び出してきた~!ヾ(≧▽≦)ノ

カラフルな文字には色ごとに違う感想が書かれていて、読み応えがあるなぁ…!愛と工夫がギュッと詰まった、ステキなカードレターだね~!♡

実は先日、Facebookで田辺農園さんを見つけてメッセージを送ったので、きっとつながることができると思っているの。

めでたくつながることができたら、あともう一人、時間切れで続きをおうちで書いてくることにした子の分も含め、私がみんなのお手紙を田辺さんに届けようと思います。

海を越えてつながることができたら、特別なご縁になってうれしいね!

そしていつの日かみんなでエクアドルの田辺農園に行って、畑で完熟した『白玉太陽もっちりバナナ』をみんなで味わえたらいいね!

さて、今回はバナナを取り上げましたが、こんなふうにして、私たちの暮らしの中には、世界中から運ばれてきたものがあふれています。

最後にもう一つ、田辺さんに連れて行ってもらったもう一つの畑と、その畑で採れたものの写真を紹介するね。

それはこちら。バナナにとっても似た植物なんだけど、何の原料になると思う?

この葉っぱは刈られた後こんな白い繊維になって…

そうめんみたいに天日に干されて…

引っ張ったら手が切れちゃいそうなほど強い糸になります。そして…

こんなふうに束ねられて出荷され…

とっても丈夫なこの糸(繊維)は、ロープや紙の原料になるんだけれど、なんと日本の紙幣にも、この繊維が配合されているんだって…!!!

この資料は私が帰国後に見つけた、JICAが発行している冊子の中の情報。マニラ麻と書かれたこの植物は、エクアドルでは「アバカ」と呼ばれていました。

この資料を見て、「私たちはお金の原料まで外国から取り寄せているのか!」と思って、私はビックリしました。

日本は輸入大国だから、日本で暮らす私たちは、衣・食・住…すべてのシーンで世界のいろーんな国々とつながっていて、私たちが毎日さわったり食べたりしているものたちは、世界の誰かが手や時間をかけて作ってくれたものなんだよね。

身の回りのモノ一つ一つの中に、いろんな世界の自然のいのちと、そこに暮らす人々の働きが入ってる。

私たちは日本に居ながらにして毎日世界とつながっていて、世界をさわり、世界のおかげで生活できてる。

バナナにも、Tシャツにも、お金にも、世界と地球が入ってる。

だから大事にしようね。「ありがとう」って思いながら、丁寧にさわろうね。

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