こんにちは!井本由紀先生のゼミに所属している、慶應義塾大学4年の田中と、
他学部受講生としてプロジェクトに参加している東京大学4年の平松です。
今回は、多様な死生観について触れよう、というテーマで、
「絵画」や「デス・ネーム」をキーワードに多様な死生観について学び、
最後に「死」をテーマに、絵を描いていただきました。
前半では、絵画からみる死生観と題して、死を扱った世界各地の絵画を紹介しました。
まず紹介したのは、死の舞踏と呼ばれる絵画。
骸骨が人間の手を取って踊るという独特の図像であり、中世末期にヨーロッパでペストが流行ったことなどをきっかけに生まれたものです。
骸骨によって死の世界に誘われる存在として様々な身分の人間が描かれていますが、その独特な風貌などに興味を惹かれた子どもが多い印象でした。
次に紹介したのは17世紀のオランダで成立したヴァニタスの静物画と呼ばれる絵画。
ヴァニタスとは虚栄を意味し、この世の空しさや儚さを頭蓋骨や煙の消えた燭台をはじめ様々な事物で表現した独特の絵画です。
この説明をすると、子どもから空しさ、儚さって何?という質問が飛び思わずハッとさせられました。たしかに人は成長していく過程で様々な経験を重ね、空しさ、あるいは儚さといった概念を体得していく部分が大きく、子どもにとってはこの種の概念にまだ馴染みがないということに気付かされました。
最後に日本の例として、人が死んでから骨になるまでを九段階で描いた九相図と呼ばれる絵画を紹介しました。
これまで紹介したものとは異なり、死体を通してかなりリアルな死が描かれていたので、子どもに与えたインパクトは強かったかもしれませんが、絵画を通して世界の人々が死とどのように向き合ってきたかを知ることで、人間が必ず直面する死について考える一つのきっかけになってもらえればと思います。
最後に、みんなに絵を描いていただきました。
殺人現場のような絵を描く子、半分が闇で半分が光で覆われているようなお家を描く子、
天国と地獄の対比のような絵を描く子、それぞれ思い思いに描いてくれました。
誰もが死を迎えます。
死について考えるということは、跳ね返って、今どう生きるか、につながると思います。
その死に対する考え方も、時代や地域、そして人によって違う、
多様であることを知ることが、
生きることを”楽"にすることにつながったらいいな、と思います。
このテーマはまた折を見て扱っていきたいと思います。
ありがとうございました!