水曜日のせかいクラスを担当している井本ゆきです。
1月12日。お正月が明けてまだ間もないこの日は、せかいクラスには7人の子どもが集っていて、いつもより少し静かでゆったりした時間でした。
大学生はこの時期は学期末レポートや試験でいそがしそうです。ゆき先生が、今日は楽器をおともに来ています。
「黒いケースに入った楽器は一体なにでしょう?」
「太鼓?」「ギター?」「ヴァイオリン?」
そう、ヴァイオリンです。
ヴァイオリンの形や、素材や、音が響く仕組みについて考えてみました。
「ヴァイオリンはどのような形?」 「馬みたい」
確かに、頭の部分は馬のようにも見えますね。
そこから、スーホの話が出てきたり、弓の毛が馬の尻尾であるお話があったり、
馬とヴァイオリンの関係が見えてきました。
「どんな音がするのだろう?」
ヴァイオリンを鳴らしてみます。
いろいろな反応がありました。耳を澄まして、じっとしずかに見ている子もいれば、
「わぁ〜、怖い。」「うるさい。」「音が大きいー。キーっとするー」、と不快な感覚を覚えて耳を塞いだり身体で反応する子もいました。
私はヴァイオリンの音を子どもの頃から毎日聞いていたので、
はじめて生の弦楽器の音を近くで聴くと、こんなに純粋な反応があるのだなと驚きました。
音が大きいとみんな感じたようなので、ミュートをヴァイオリンにつけて、音の響きをやわらげて弾いてみました。
そしてそれぞれが心地よく音が聴ける安心の場所を探して、そこで、ヴァイオリンの音楽を聴きました。
一曲目は、チャルダッシュという曲です。
最初は、哀愁あふれる、悲しいメロディーです。
どんな感じがする?と聞くと、
「怖い」「暗い」という感じがするようでした。
後半は、だんだんと明るくなって、速くなって、技巧的になっていきます。
リズムと一緒に身体が動き出す子がいたり、「うまい!すごい!」と技巧的な速さにびっくりする子もいました。動いている子は、途中から「追いつかないー」とバテていました。
少しヴァイオリンの音の色々な表情に触れたところで、
今度は、スケッチブックを前に、
その曲からどのような色やイメージでてくるか、なんでも描いてみよう。
「どんな色?どんなお話?なんでも出てくるものを描いてくださいね。」
スケッチブックを前に、
もう一曲。
今度は明るいメロディーを弾きました。
どんな風景が出てくるかな?
「美しきロスマリン」という、
可愛い女の子が登場する曲なんです。
静かに集中してスケッチブックに向かう時間が続きました。
出てきた絵や色は、このように様々です!
曲のイメージを言葉と色であらわしたり、
ヘビが登場しているお話だったり、
川や木の自然があらわれたり、
ヨーロッパの街並みが思い出されたり、
可愛い女の子の絵が間違い探しゲームとして共同作品としてできあがったり。
ヴァイオリンの形を丁寧に観察しながらスケッチをする子もいました。
最初は、ヴァイオリンの音にびっくりしていた子も、
クラスの終わりにはその音の感覚と少し仲良くなっていたようです。
「もっと弾いて!明るい曲がいいです」とリクエストも出てきました。
これからもせかいの楽器の音や音楽に生身で触れて、
それが「どんな感じかな?」とそれぞれの感覚で、快・不快のどちらの感覚も受け止めて、
一緒に探っていけたらな、と思います。